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第20話 ミアとエレノア

作者: 月歌
last update 最終更新日: 2025-05-19 14:12:27

◆◆◆◆◆

(一週間後 地下使用人休憩室)

「おかしいわ……」

ミアはスープの表面をスプーンでかき混ぜながら、小声で呟いた。

セドリックから、ヴィオレットが娘を女当主にすることを諦めたと聞いた。なのに、一週間経っても彼女が実家に帰る気配はない。

――悔し泣きする姿が見られると思ったのに……どういうこと?

自分がいまだに地下の使用人休憩室で食事を取らされている状況にも、ミアは憤っていた。セドリックに自室で食べたいと頼んだミアだが、「検討しておこう」と返され、その後何の変化もない。

清潔に整えられているとはいえ、地下の休憩室は質素で地味だ。特に夜は燭台の明かりだけが頼りで、上階の煌びやかな部屋とは比べ物にならない。

「貧乏くさくて、食事も不味く感じるわ……」

パンをちぎり、豆と鶏肉のスープに浸して口に運ぶ。周囲では使用人たちが談笑しながら食事をしているが、ミアは彼らと仲良くするつもりはなかった。

一人で黙々と食べる食事は味気なく、早くこの場を離れルイの部屋に戻りたいとミアは強く思う。

「ミアさん、少しお時間いいですか?」

不意にかけられた声に、ミアは顔を上げた。声の主はリリアーナの侍女、エレノア・グレイウッドだった。

「エレノアさん? どうしたの?」

彼女は他の使用人たちよりも礼儀正しく、ミアに対して親切だった。ヴィオレットがいなくなれば、自分専属の侍女にしてやろうと考えるほどには気に入っている。

「実は人手が足りなくて、食料庫の整頓を手伝ってほしいんです」

「はぁ? どうして乳母の私が、食料庫の整頓なんてしなきゃならないの? あれは厨房担当の使用人の仕事でしょう」

――こんなことを頼むなんて、エレノアを私の侍女にする計画はなしね!

「そんなに怒らないでください。ミアさんもご存じでしょう? 今、使用人たちの間で風邪が流行っていること」

「知ってるけど、それが何?」

「その風邪で、厨房の助手が熱を出して寝込んでいるんです。今朝配達された食品が整頓されないままなのだそうで、皆困っているの」

「それは私には関係ないわ」

冷たく言い放つミアに、エレノアは困ったように肩をすくめ、苦笑した。

「私も侍女ですし、正直気乗りはしません。でも、これはジェフリーさんの指示です。ミアさんも一緒に手伝ってほしい、と」

――またジェフリー。ほんと嫌な男。

「やりたくないわ。まだ食事中だし」

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